2019年6月27日(木)-29日(土)に早稲田大学で開催された、コンピュータグラフィックス技術研究に関する国内最大の学会「Visual Computing 2019」に参加しました。この学会は今年で開催27年目を迎える、国内CG業界では名が知られた歴史ある学会です。また、研究発表の申込みにあたっての審査(査読)が厳しいことでも知られており、申込総数の半数以下にしか壇上での口頭発表の機会が与えられないという、厳選された研究成果が集まる場でもあります。また、上記リンク先の公式ページをご覧いただくと即座に目に入るとおり、いわゆるCGと聞いて思い浮かべるようなIT企業や映像制作企業の講演も催されるような、国内最高峰の技術・産業の接点となるようなイベントでした。
今回は当研究室からは査読ありの登壇発表の機会はありませんでしたが(そもそも応募できませんでした…)、事前審査なしのポスター発表2件と招待講演1件を行いました。
まず、向井の招待講演とポスター発表の様子です。
招待講演では、こちらの英論文の概要の説明を中心としながら、プラチナゲームズ株式会社様との共同研究の成果であるプラグインソフトウェア「Manescle」をお披露目しました。「Muscleをマネする」を語源とする、個人的にとても気に入っている造語です。その発表をご覧いただいた企業の方からは、「制作現場における問題を解決する試みが、国際的な学術論文になることもあるんですね」という嬉しいコメントをいただきました。まさに我が意を得たりです。世界の第一線で制作活動を行っている現場におけるニーズには、国際的に通用する学術研究に至るシーズが多分に含まれていることの一例を示せたと自負しています。
また、ポスター発表では未発表技術について説明しました。多数の学生や企業からの参加者にお越しいただき、活発な対話を楽しみませていただきました。私自身がポスター発表を行うのはとても久しぶりでしたが、多面的な議論を交わすのはとても楽しいと再認識しました。言葉に詰まるような的確な(=厳しい)コメントをもらえることも嬉しいですね。というのも、例えば難関な国際学会に発表を申し込む時には、それはそれは攻撃的な審査コメントが並ぶ場面も珍しくないからです。そうした厳しい場に向かう事前準備である「研究のアラ探し」に、来場者の方の協力を仰げるのは大変ありがたい機会です。
次に修士学生の厳君の発表の様子です。実際にはポスター形式での研究発表でしたが、それに先立って登壇形式でのライトニングトークを行っている様子です。
少し緊張気味でしたが、堂々とした発表を行えたと思います。その後のポスター発表でも、多数の研究者・学生と議論できて充実していた様子でした。また、学会後に「周りの人がすごく研究を頑張っていたので、私も頑張らないと!」と発奮していた様子を見て、私もにんまりとしました。まさにVisual Computingという学会の魅力が凝縮された感想と思いました。
少しだけ学会運営側の観点からコメントすると、これは熱心かつフラットな議論ができる場が体現されていたからだと思います。発表者は今年から卒研・修士研究に初めて取り組む学生諸氏からシニア寄りの教員、そして業界最高峰の学会で発表しているような気鋭の研究者と多岐にわたりました。そうした多様な研究者が同じ舞台で発表している光景はなかなかに壮観でした。当日の高気温もたたりましたが、発表者が汗だくになるほどの熱気につつまれていました。
さて、来年のVC2020は慶應大学日吉キャンパスにて2020年6月25日(木)-27日(土)にて開催予定です。登壇発表の申込みはおそらく2020年3月末頃になる見込みです。また、ポスター発表も今年以上に活況になることが期待されます。当研究室からも、ぜひ登壇発表に申し込みたいという希望を持ち続けつつ、研究活動に取り組んでいきます。