映像表現・芸術科学フォーラム 2016で,本研究室の学部4年生2名がポスター発表し,それぞれ受賞しました.
- 滝澤巧樹,対話型進化計算を用いた3次元デフォルメキャラクター髪型作成支援システム
(ポスター発表優秀賞)
- 中河原優貴,3DCGアニメにおけるリミテッド表現のための補間方法の一提案
(CG-ARTS人材育成パートナー企業賞(株式会社STUDIO 4℃))
滝澤君の研究では,3次元CGキャラクターの髪型モデルを制作するための技術に関する研究で,特別な専門知識を必要とせず簡単にCGモデルを作成する,例えばビデオゲームにおける「キャラメイク」を支援するための技術を提案しています.また,中河原君の研究は、3次元CGアニメーション制作における中割り方法に着目した,セル画風・手書き風の「くずし」と呼ばれる技法を模倣する方法についての研究です.
2名とも学会参加自体が初めて,ポスター発表も実質初めて,そして本研究室からの初めての学生発表ということで,本人達も私も手探りの状況でしたが,手前味噌ながら上々の出来だったと思います.もちろん研究内容としては向上の余地がありますが,FastForwardもポスター発表も良くできていました.上記の写真の立ち姿と笑顔にも,来場者の方への「おもてなし心」と本人の自信が良く表れていると思います.
(発表前々日の学内イベント参加が予行演習として機能したのも大きかったですね.)
その結果として,両名とも賞という形で評価いただいたことは,教員としても嬉しい限りです.諸事情で当日の表彰式を欠席したのが大変悔やまれますが,後日,CG-ARTS協会の方に大学までお越しいただき,表彰式(番外編)を執り行いました.
ちなみに,株式会社STUDIO 4℃様からは企業賞の副賞として,DVDボックスも贈呈いただきました.この場を借りてお礼申し上げます.また,我々の発表を多方面から支援していただいた,学会の運営の皆さまにも感謝いたします.
少し話を変えて研究室のお話をすると,本研究室では原則として学生自らが立案・調査・実験・評価に至る,研究の一連の流れを担当します.特に今回の2件の発表は,良い意味で教員の意見は最小限しか反映されていません(※教員のアドバイスについても最終判断は学生自身に委ねる意味で).つまり,「言われた通りにやれば良い」とは真反対の状況下で試行錯誤してもらいました.
そうした状況においても,2名はとにかく早く手を動かしていました.中河原君は初夏には基本技術はほぼ完成させており,残りの期間はこまごまとした紆余曲折を経て完成度を高めてきました.また滝澤君は対照的に,夏までは別の研究テーマに取り組んでいたのですが,夏期休暇明けから一転してテーマを刷新し,ほぼ2ヶ月ほどで完成に至らせました(変更前のテーマも着眼点が良く成果も期待できたのですが,本人のモチベーションを優先しました).発表後に本人達は「卒研を始めた時には,こんなテーマで発表するとは思ってすらいなかった.内容がコロコロと変わったので」と言っていましたが,それも1つの成功事例です.むしろ,スピード感を持って色々試せたからこその受賞だったと思います.
ともかく、2人ともおめでとう!
最後に,滝澤君からの感想を引用します.文章構成の一部は私のほうで修正しましたが,本人の生に近い声です.後輩達はぜひ参考にして下さい.
「当初は学会で発表するなどとは考えていませんでしたが,中河原君に誘われたことがきっかけで参加しても良いかと思いました.当日は,想定以上に多くの方々にポスターの内容を聞きに来ていただいたため,とても驚きました.また,「学会」という言葉からお堅い場所を想像して緊張していましたが,発表を聞きに来る人たちは思いの外フランクで,いざ始まってみればリラックスして意見交換をすることが出来ました.発表に対する意見の中には,自分が思いもよらなかったことも数多くあり,非常に有益な議論ができたと思います.」