春期休暇期間は大学生にとって貴重な課外活動の期間ですが(新4年生は就職活動で休息どころではないでしょうが)、教員も同様に、授業外の活動に注力できる期間です。もっとも、成績判定や入試判定や次年度の準備、さらには学外の学会活動などの仕事は盛りだくさんでもう…
とはいえ私は 3月中に比較的時間がとれたので、インダストリアルアート学科への理解を深めるべく、標題の「デザイン科学概論」という書籍を拝読しました。以前からTwitter等のSNSで好評を博していることを見聞きしていたので、期待して望みました。
果たして、とても良い教科書でした。プロダクトデザインからソフトウェアデザインまで、幅広い「デザイン」事例を網羅的に述べられており、分野に関係なく共通性、そして分野間のデザインの差異が読み取れる良書です。例えば、インダストリアルアート学科に12の多様なスタジオが配置されている理由も、端的に読み取れると思います。
教科書の骨格をなしている理論についても、狭義のデザイン科学の専門家ではありませんので意見は差し控えますが、ソフトウェアデザインについても符合する部分が大きいと感じました。コンセプトレベルから実装レベルにブレークダウンするための分かりやすい思考階層が示されているので、「自分が今何を考えるべきか/何を何のためにやっているのか」をシステマティックに捉えられるようになり、結果としてデザインの迷子にならないためのヒントが得られるように思います。
デザイン対象を絞り込んで学ぶことも大事ですが、「デザイン活動」そのものをいったん俯瞰的に捉え直すと、また新たな気付きがあると思います。日野の学生は日野キャンパス図書館に配架されているので、まずはお手に取って目次だけでも読んでみて下さい。