SIGGRAPH2016参加報告

S2016
米国時間で7月24日~7月28日、カリフォルニア州アナハイムにて開催されたACM SIGGRAPH 2016という、コンピュータグラフィックス業界最大規模の国際学会に参加してきました。手前味噌ながら、その中でも最難関の学術発表の舞台であるTechnical Papersプログラムにて発表を行いました。

 題目: Efficient Dynamic Skinning with Low-Rank Helper Bone Controllers
 著者: Tomohiko Mukai and Shigeru Kuriyama
 掲載: ACM Transactions on Graphics – Proceedings of ACM SIGGRAPH 2016, Volume 35, Issue 4, July 2016, Article No. 36

Technical Papers Fast Forward

Tech Papersの発表は、会議初日の夜18時~20時に開催されたライトニングトークイベント「Technical Papers Fast Forward」から始まりました。これは、その年のTech Papersに採択された著者が一同に会し、各30秒間という限られた時間内で「この技術は面白いから論文発表を聞きに来てね」と宣伝する恒例のイベントです。論文の重要ポイントを著者自身が紹介する意味では、その年の最先端コンピュータグラフィックス技術研究のショウケースといえます。
(※2016/8/4時点で収録ムービーは Sign up を経て誰でもフリーで閲覧できるようです。なお、会場の様子はコチラコチラの写真が参考になると思います)

学会発表というとお堅いイメージを持たれそうですが、ことFast Forwardについては様相が異なります。大学や企業等の研究者のみならず、エンタメ業界のアーティストやエンジニアも多数参加する学会であることから、ユーモラスな発表も大いに歓迎される…むしろ楽しくわかりやすい発表を期待する聴講者が多いセッションです。過去を例に挙げると、パロディやミニコントやコスプレやラップ、(多少下品な)ジョークも大いに喜ばれます。

私は今回、次のようなプレゼンを行いました。
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約10年ぶりの大きな緊張に包まれ、顔が引きつっています。会場の数千人の聴講者が眼前に…思い返すだけで胃がキリキリします。

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いきなり冒頭から噛んでしまい、内心とても慌てています。「実用的な動的スキニング技術を提案します」という真面目なトークです。

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実写パートに切り替えます。「提案技術のキモは、線形ブレンドスキニングにおける補助骨のプロシージャル制御です」という説明に、会場からクスクスと笑い声が聞こえます。

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画像は省略しますが「ただし、高精度な制御はコストが高すぎる」にドッと大きな反応が。その後は女の子にバトンタッチ。「核ノルム最適化によって計算コストを削減します」の言葉通り、その子の手には低コストなジ○ニャンのチョコボー(100 JPY)が握られています。

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発表の〆である「”コンパクト”なコントローラーは、もっともらしい動的スキン変形を実時間に生成します」という最重要の解説もウケました。

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予想以上の反応に、思わずドヤ顔。

脂汗をかきながら臨んだ発表でしたが、フタを空けてみれば好評のうちに終えました。翌日の論文発表前に座長の先生から「FF良かったよ(両手パタパタ)」というジェスチャーをもらったのは嬉しかったです。また、帰国後に出演者(妻&娘)にも見てもらいましたが、「ほのぼのホームビデオだね」「お父さんすごーい」という反応でした。たった30秒のために数時間を費やしましたが、たぶん報われたと思います。

論文発表本番

2日目以降のTech Papersプログラムは、Fast Forwardからうって変わって専門用語や数式が当たり前に飛び交う、先端技術について議論する場です。私の発表は会議2日目午前中のRigging and Skinningセッションの3件目でした。発表自体は滞りなく終了しました。発表スライドはコチラからダウンロードいただけます。

セッション終了後の議論も非常に有益でした。短い時間ながら、座長の先生を中心に講演者間で色々と議論させていただき、私の提案技術についても建設的な意見を色々といただきました。特に、私が「できない」と結論づけていた技術について、「本当に?できるんじゃない?なんでできないの?」と深く、優しく切り込んでいただいたことが印象に残っています。世界的にもアクティブな研究室は、こうやってポジティブなダメ出しを繰り返すことで成果を生み出し続けるのでしょうね。出ないはずの杭を伸ばす方針とでもいえるでしょうか。

余談

講演特典として帽子をいただきました。
I rendered the possibilities with my contribution!
S2016cap2
また、前職の退職時に「大学に移る以上、必ずSIGGRAPHの壇上に立ちます!」とノーアイデアでビッグマウスを叩いたのですが、果たして実現できてよかったです。同会議の別プログラムにて元同僚方が多数発表されていたのは個人的にも嬉しく、色々な必然を感じずにはいられませんでした。

会議後

アナハイムと言えばカリフォルニアディズニーリゾートです。Park Hopperオプションも奮発して、早朝から夜中まで一人ディズニーしてきました。実はアナ雪は今まで一回も見たことが無かったのですが、最前列でショーを見てやられました。カーズのアトラクションも良かったですし、ワールドオブカラーもパレードも花火も(以下略

mukai について

4+4年目の教員です。ゲーム会社にも5年間ほどお世話になりました。

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  1. ピンバック: 2016年度のまとめ – Mukai Laboratory

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